前回の世界選手権から導入されたチーム戦。
同一国男女3人ずつ、計6人がスーパーGとスラロームで競う、アルペンスキーでは唯一と言っていい団体戦である。
戦前の予想通り、ライヒ、マット、シールド、ゲッティルと今季の「黄金カルテット」を擁した王国オーストリーが勝利した。
勝って当然のように思えるが、
「トップを走る者が一番苦しく、一番頑張っている」。
とは、私の親友の言葉である。
彼は学生時代、常にランニングでトップを走ってきた。ゴール直後に倒れこんで、しばらく立てない姿もよく見ていた。
それでも、彼の背中しか見たことがない後続の者として、常にトップであり続ける彼は楽しみを感じこそすれ、苦しみはないだろうと勝手に考えていた。
アルペンスキーで勝つことを「義務つけ」られたオーストリーの選手たち。
日本に例えれば、常に金メダルを期待される柔道、そして国技である相撲と同じだろうか。
トップであり続けるオーストリーチーム。
「一番苦しく、一番頑張っている」。
おそらくそれは間違っていないだろう。