アルペンスキー撮影記

毎冬、ヨーロッパアルプスを中心に行われるアルペンスキーワールドカップの魅力を紹介していきます

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春到来 W-CUP雑感

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帰国した日は異常な春、いや夏の陽気につつまれた日でした。

偶然にも女子ジャンプで今季総合優勝を果たした高梨沙羅選手と同じ便で帰国。

ターンテーブルの前で「総合優勝おめでとう」と手を差し出すと、小さな子供の手で「ありがとうございます」と丁寧に返してくれました。

「クリスタルグローブ、重かった?」と聞いたら「はい」と良い返事。以上でインタビューは終了しました笑。

税関を出ると、待ち受けた報道陣のなかに知った顔があったので、しばし立ち話。話題は彼女の話ではなく、湯浅のこと。

湯浅直樹はちょうど私が帰国した火曜日にドイツで腰の診察をうけました。本人がフェイスブックで報告している内容によると、

「背中に11本の注射をぶち込まれ、ビタミンとマグネシウムも腕から打たれ第一回目の診察が終了した」そうです。

そして「48時間おきにあと二回この処置をしなければならなく、ミュンヘンにあと一週間も治療の為だけに滞在しなければならない、、、それも何だか退屈です。背に腹はかえられぬ、、、か。」

と上手い締めをして、

「ということで、今年の全日本選手権は残念ですが出場出来ない事になりました。とにかく地元札幌でのレースに出れず、残念極まりないです。」

と、出る気でいたの?おいおい!と突っ込みを入れたくなる一文も相変わらずです。笑

少なくともあと2回は何本も注射を「ぶちこまれる」治療があり、それが終わってから腰の状況がどうなるかで、今後の対応が決まるものと思います。

いずれにせよ、腰の痛みとお別れすることをまず第一に考えて欲しいと思います。

それにしても最終戦の2本目は鮮烈でした。(冒頭の写真は1本目)

こういうことを調べても2本トータルで競う競技なのであまり意味はないかもしれませんが、今季のSLで王者ヒルシャーに1秒以上もの大差をつけた選手はバルディゼールでのアレクシ・パンテュローの2本目1.50秒とウルフガング・ホエールの1.13秒、そして湯浅直樹のレンツァハイデ1.04秒の3人のみ。

それだけヒルシャーが強いという証明でもありますが、湯浅直樹は王者ヒルシャーと互角に戦うだけのポテンシャルも持っていることはこれではっきりしたと言えるでしょう。

来季は早い段階で第一シードに入って、ヒルシャーやノイロイターらと毎戦競って、表彰台の常連になってくれるように願ってやみません。

それにはとにかく、腰の治癒が最優先。Dr.ミューラーの処方が湯浅の腰を回復させてくれることを祈りたいと思います。 

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写真は2本目のゴールでSL種目別Vのヒルシャーを見つめる湯浅直樹

私も残念ながら、全日本選手権には伺えません。今週末はすでに雑誌社から仕事依頼をいただき、陸上の撮影仕事に行ってきます。

http://www.ustream.tv/channel/

こちらで明日9時からライブ配信がありますので、みなさまぜひご覧ください。

さて、雑感を。

今季もSLで圧倒的な力をみせたマルセル・ヒルシャー。

実は志賀高原のFECで皆川賢太郎選手にいい話を伺いました。

賢太郎はシュラトミング世界選手権、最後のほうだけ観戦に訪れたのですが、ヒルシャーやライヒと話をしたとのことで、

ヒルシャー自身はいま、「キックして滑っている」と語ってくれたそうです。 

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そう言われれば、ターン後半にスキーが浮く瞬間が撮れることが他の選手より多いとは感じてました。

写真は湯浅と同じ位置でのヒルシャーの滑り。

ただ、彼の凄いところはそこで上体が置いていかれるのではなく、ある程度上体が起きたまま次のターンに好ポジションで入っていけるということ。

上体を被せずにスキーの走りを存分に引き出せる身体の強さがあるのだと思います。

またこれも皆川賢太郎選手から伺った話ですが、ベンヤミン・ライヒに「身体の調子はどう?」と尋ねると

「身体は問題ない。でもスキーが下手だ」と答えたそうです。

それに賢太郎はいたく感化されたそうで、ベニーほどの選手でも更なる向上心を当たり前のように持っていることに強く刺激を受けたと話してくれました。

ベニーは勝利へのモチベーチョンがなくなったら引退すると常々語っているとも他の方から伺っているので、35歳のベテランは「昇龍」ヒルシャーに勝って、もう一度表彰台の真ん中に立つことを諦めてはいないのだと思います。

2007年12月以来、スラロームの優勝はないベニー。

私はその話を聞いて、もう一度、ベニーの表彰台での勇姿を見てみたいという気持ちになりました。

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写真は自身、今季SLでの最高位だった5位、キッツビュールでのベンヤミン・ライヒ

皆川賢太郎選手から伺ったアルペンスキー大国オーストリアの新旧エースの話、私はよだれが出るほど興味深く聞かせてもらいました。どうもありがとうございました。皆様にも「お裾分け」です。笑

さて、全日本選手権には伺えませんが、まだこの春の国内のレースにはお邪魔する予定でおります。

更新頻度はワールドカップ開催中より少なくなりますが、またたまに覗きにいらしてください。