アルペンスキー撮影記

毎冬、ヨーロッパアルプスを中心に行われるアルペンスキーワールドカップの魅力を紹介していきます

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蛍雪のとき

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「戦友」と祝杯をあげた翌朝は、ミュンヘンにも雪がうっすらと積もっていました。

戦友を空港に送ることもせず、私はミュンヘンから南西に車を走らせました。例のごとく安全運転で7時間、スイスのシオンというところに到着。

今日はそのシオンから車で登って30分くらいのティオンというところでの女子FISレースGSを撮ってきました。

撮りたかったのは新井真季子ちゃん。

ちゃんは選手に失礼かもしれませんが、なにせ彼女はまだ17歳。42歳のおっさんには子供です。(笑)下手すりゃ、いや、下手しなくても娘といってもいい歳です。

ティオンのFISレースは何カ所かウェーブや斜面変化があるものの、びっくりするような急斜面はなく、今日はリヒテンシュタインのコーチ曰く、「まっすぐのイケイケセット」でした。

43番スタートの新井はコース前半で転倒。それが冒頭の写真です。

このまま私のすぐ近くまで来てしまいました。

実は彼女、昨日のレースでも途中棄権。2日連続でのコースアウトに、私はなんと言ってあげたらいいのか、言葉が出ませんでした。思わず、

「転んでるところは撮れたよ」と冗談のつもりで言ったのが、

彼女は無言。

「ありゃーこりゃ、まいったなー」というのがおっさんの素直な気持ちでした(笑)。

イムリーな言葉で励ましてあげることもできない、だらしないオヤジです。(苦笑)

ゴールで再び会ったときに「今日の一枚が5年後くらいに貴重な写真になると思うよ。」と言いました。

「おれが最初に撮った写真が転んでるやつ。でもいまはこんなに素晴らしいワールドカップ選手になりました。その最初の写真がこれですと言えるようになってね。」と苦しいフォロー。(苦笑)

レベルはまったく違うのですが、私も草レーサーだったので彼女の気持ちはなんとなくわかります。

アルペンスキーって、個人競技だし、すぐ他人との差が明確に出るし、自分がやろうと思っている滑りがなかなか出来ないしで、おまけに、冬で寒いので、成績がでないときは内に内にこもっちゃいがちなんですよね。

若さゆえに悩みも深いかもしれませんが、人生半分過ぎたおっさんから言わせてもらえれば、

「大いに悩んでもがいて、自分の力で這い上がれ!あなたの人生、自らの足で力強く歩くしか道はない!」

と励まして?鼓舞してあげたいなと思います。

 

注:新井真季子選手は岐阜の高山西高校2年とオーストリアのバドホフガシュタインのスキー・ホテル専門学校3年のダブルスクール。全日本女子ジュニアチームA指定選手。詳しくはスキーグラフィック誌12月、1月、2月号をごらんください。

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写真はティオンのレースコースからの風景。

さて、世界選手権の雑感はまた近日にアップいたします。お楽しみに。