先週水曜日に無事、帰国しました。
オーレからの帰路を少し。
トロンハイムからオスロまでの車移動は、思いのほか短時間ですみました。
途中、オップタールという小さな町を通過。
この地名だけでピンとくる方は相当なアルペンスキーファンです。
そう、1988年、いまから20年ほど前に岡部哲也さんが2位になったワールドカップ会場です。(優勝はアルベルト・トンバ)
木村氏のHPによると当時はカルガリーオリンピック直後のレースでだれも北欧の片田舎には行かなかったとの記述があります。
木村氏のおっしゃるように、オップタールはほんとに山の中の田舎町でした。失礼ながら「こんなとこでよくワールドカップをやったなー」という感じです。
ま、同じようなワールドカップ会場は他にもありますけどね。(バドクラインキルヒムとかヒンターストウッダーとか)
いまではワールドカップの男子SLに日本人カメラマンがだれもいないということはありませんが、当時はそういうこともあったのですね。
岡部さんはワールドカップはこの2位が1回。その後のエース、木村公宣さんも3位が最高。
そう考えると、「現代のエース」佐々木明は2位が3回。史上最高の成績を残している日本のエースと言えるでしょう。
しかし、そのエースも今季は度重なる怪我で大苦戦でした。
来季はオリンピックシーズンでもありますので、トリノオリンピック前のシュラトミングでの明のような、大活躍を望みたいところです。
一方、「今季日本人最高位」の14位をシュラトミングであげた湯浅直樹。今季のWCランキングも日本人トップですが、彼自身は調子の良さがレースで発揮できない消化不良なシーズンだったかもしれません。
世界選手権では思いもよらぬ?GSでスーパーランをみせてくれましたが、その後は調子を落とし得意のクラニスカ・ゴラでも2本目に残れませんでした。今シーズン彼自身最後の欧州レースであるドイツ選手権で好ポイントも取れたので、私個人としては、「あせらずじっくりオフシーズンのトレーニングをこなしてほしい」と思います。
そして結果的に日本のレースに出場したことが来季への大きなステップとなった皆川賢太郎。彼の場合、心配なのはひざを中心とした体調面だけでしょう。メンタルは全く心配ないと思います。ベテランの底力をバンクーバーでは発揮してほしいところです。
日本のトップ3は、レースで本来の力を発揮すれば世界で互角に戦える実力を備えていると言えますが、心配なのは若手の成長です。
大越龍之介には来季どこかのレースで2本目に残って、ワールドカップで初順位を記録してほしいと思いますし、石井智也には早い段階で初出場を果たしてほしいと思っています。
そして彼らに続く選手の登場を早期に望みたいところです。
今年の「帰国後初仕事」は東京マラソンでした。
私はゴール担当。
「エリートランナー」とよばれる招待選手や本格的なランナーたちを撮り終えると、少しずつ一般ランナーがゴールに増えていきました。
ほとんどの人が自己タイムを更新したのか、バンザイ、いや、「グリコのポーズ」でフィニッシュしていました。
どの顔も達成感に満ちあふれていました。しかもそれが3万人。
そして4時間を超える頃には、ゴールは人であふれ、芋洗い状態になっていました。
ランニング人口の底辺の広さをまざまざと見せつけられた感でいっぱいでした。
さて、アルペンスキーはどうすれば国内の底辺拡大ができるか?
一朝一夕にいく問題ではありませんが、私は競技者もSAJ登録をしてもらって、レーサーはみな、SAJポイントを持ってもらうのがいいのではないかと考えています。
基礎の検定が数人資格者がいれば内輪のクラブ内でもできてしまうように、(昔はそうだったのですが今もそうですかね?)B級レースを場所を決めてやるのではなく、公認セッターとペースレーサー、ある程度のコースがあればどこでもいつでも開催可にするというのはどうかと思っています。
そのような規定にすれば、公認セッターとペースレーサーが各大学サークルの合宿を行脚して全選手にポイントを与えたり、そこで技術の講習もできたり、人のつながりも生まれると思います。
自分が国内でどれくらいの位置にいるのか明確になることによって、励みにもなるし、東京マラソンではありませんが自己ポイントの更新を目標にアルペンスキーを継続していけることにも継ながるのではないかと思います。
小さなことかもしれませんが、大会を開くというとお金がかかるという問題がついてまわるので、SAJB級のレース開催規定の簡略化やそれが無理であればC級、D級レースの創設など考えてみてもいいのではないかと思います。ま、これはあくまでも「底辺拡大」のため、いわいる草レーサー減少歯止めのためと捉えていただけると幸いです。
もっと深刻な問題は某掲示板によると、中学・高校生で真剣にトップを目指してアルペンスキーをする選手が減少しているということにあるようです。
用具や遠征費にお金がかかり、道半ばで断念せざるを得ないのが現状。これはアルペンの本場、オーストリアでも同じらしく、以前キッツビュールのスキー学校の先生に聞いた話によると、一流のスキー選手になるまでにはかなりの額のお金がかかり、多くの中学・高校生がアルペンスキー選手への道を断念していくそうです。
「ジュニアの育成」には今、どのスポーツでも力をいれています。アルペンスキーも取り残されることのないよう、「しかるべき立場の大人」がしっかりとビジョンを示して確実な未来への投資を始めなければ、今の「トップ3」のように世界で互角に戦える選手は生まれてこないかもしれません。
「底辺の拡大」と「ジュニアの育成」、どちらも地道な活動が実を結ぶものだと思います。私自身も「継続は力なり」、アルペンスキーの撮影をこれからもずっと続けていきたいと思います。