昨年10月24日にセルデンで開幕した2015-16シーズンのワールドカップも男女ともにそれぞれあと2会場を残すのみとなりました。
男子は10日からノルウェーのクビットフィエールで滑降トレーニングラン開始で、土日でDHとSG。
女子はスイスのレンツァハイデで12,13日にSGとAC(SG+SL)。
そして翌週が最終戦、スイスのサンモリッツです。(DH SG Team戦 GS SL)
今週末の前に総合、種目別優勝争いをおさらいしておくと、
男子は総合でマルセル・ヒルシャーがトップで1625ポイント。2位で追うはヘンリック・クリストッファーセンで1272ポイントです。
その差は353ポイント。(冒頭の写真は湯沢苗場でのマルセル・ヒルシャー)
ここまでW杯のSG出場はなく、FISレースSGも2シーズン前から出場していないヘンリックなので、残りはGS、SLの2レースのみの出場と思われます。よって、総合クリスタトロフィーは今年もマルセルの手に渡ることがほぼ決定と言っていいでしょう。
前人未到の総合5連覇の大偉業達成です。
(現状、総合3位のアレクシ・パンテュローが残り6戦すべて勝ち、マルセルが残りすべてポイント無しに終われば大逆転もありえますが、可能性としては99.99%ないでしょう)
余談ですが、クリストッファーセンが高速系レースはどれくらい出ているのか調べると、さすがノルウェー選手と言うべきか、21歳の細身の青年は15歳のときから毎年、ノルウェー国内レースを中心にダウンヒルとスーパーGに出場していました。
ここ2年ほど出場していないのは、ワールドカップ技術系で台頭し、トップを争うことになったからでしょう。いずれはスビンダルやヤンスルのようにオールラウンダーへの道を歩むかもしれません。
写真はアルタバディアGSでのクリストッファーセン。こんな風にクラウチングを組んでジャンプする姿を見る日も遠くないかもしれません。
さらに余談ですが、日本でいえば高校生のときから毎年、全種目、特に高速系も出場しているとうレースに対する取り組み、選手育成方針、そしてそれができる環境があることはうらやましい限りですね。
決して大きなチームではない、ノルディックが「本流」のノルウェーでそれができるのですから、日本もできないはずはありませんね。
さて、話をもとに戻すと、そのクリストッファーセンは前回のブログでお伝えしたように、SL種目別チャンピオンが決定。同じく、マルセル・ヒルシャーがGS種目別チャンピオンを決めています。
写真はクラニスカゴラのゴールでお互いの健闘を称えあうマルセルとクリストッファーセン。
DHは熾烈な争いです。
現在トップはキッツビュールDHの怪我で戦線離脱中のアクセル・ルンド・スビンダルで2位は今季好調のペーター・フィル。
写真は韓国・チョンソンでのペーター・フィル。
DHはあと2戦で、数字上はアドリアン・テオー、ケティル・ヤンスル、ドミニク・パリスなど、現在10位のスティーブン・ナイマンまで可能性があります。
その熾烈な種目別優勝の行方は今週の土曜日の結果である程度絞られてくるでしょう。
残るはSGですが、これも熾烈。
現在トップはアクセル・ルンド・スビンダルで2位は僚友のアレキサンダー・オーモット・キルデです。
その差は25ポイント。
通常のポイントでいけば、10位で26ポイントなので、あと2レースを残して、キルデがスビンダルを上回る可能性は大きいと言えるでしょう。
写真は同じくチョンソンSGでのアレキサンダー・オーモット・キルデ。
加えて3位のビンセント・クルリケマイヤー、4位のカルロ・ヤンカ、そしてなんと、5位のマルセル・ヒルシャー、そしてそして、数字上は現在16位のロメッド・バウマンまでSG種目別チャンピオンの可能性があります。
大激戦のSG種目別優勝争い、13日のクビットフィエールSGにも注目です。
女子の総合争いはララ・グートが1257ポイントでトップ。
写真はセルデンでのララ・グート。
2位はリンゼイ・ボンでその差は22ポイントでしたが、ゾルダウのSGで転倒し左膝数カ所を骨折したため今後の出場は不可能となりました。
現状3位はビクトリア・レーベンスブルグで994ポイント。
その差は263ポイントで、彼女が出場するであろうレースは残りSG2、DH1、GS1なので数字上は十分逆転可能です。
しかし、全種目でポイントを獲得しているララ・グートが有利なのは間違いないでしょう。
スイス女子の総合優勝となると、1994-95シーズンのフレニ・シュナイダー以来となります。
SLは先日のスロバキア・ヤスナでフリーダ・ハンスドッターに決定。
優勝はリエンツの1度だけでしたが、ここまで10戦中(1戦はストックホルムシティーイベントパラレルSL)2位3回、3位2回と安定した成績でヤスナ10位で初の種目別クイーンの座を手にしました。
それでもSLで特筆すべきは、出場した4レース全てで優勝したミカエラ・シフリンの圧倒的な速さでしょう。
今季初戦となったアスペン3.07秒、同じくアスペン2.65秒、復帰後すぐのクランモンタナは0.45秒でしたが、ヤスナは2.36秒と2位に大差をつけての勝利が強烈な印象を残しました。
オーレの練習での怪我がなければ、今季SLは、もうすぐ21歳になる彼女がすべて勝っていたかもしれません。
すいません、写真がなくて。女子は開幕戦のセルデンGSしか撮影していないので、最終戦でしっかり撮りたいと思います。
DHもすでに決まっていて、リンゼイが2年連続8度目の種目別女王となりました。サンモリッツには杖をついてでも登場して欲しいものです。
GSはヤスナで今季2勝目をあげたエバ・マリア・ブレムがトップで、レーベンスブルグとの争いで52ポイント差で残り1戦。
SGは男子と同じく激戦。
トップはリンゼイで2位ララが64ポイント差で追う展開です。残り2レースですが、数字上は6位の今季好調、フェデリカ・ブリニョーネまで可能性があります。
今週末のレンツァハイデでしっかりその戦いを撮りたいと思います!
以上、総合、種目別V争いのおさらいでした。
みなさんもご承知のとおり、今季はトップ選手のケガでの戦線離脱が多く、少し寂しさも感じるシーズンではありました。
現在のW杯でまったく怪我をしたことのない選手を見つけるのは至難の業ではありますが、スビンダル、リゲティ、フェンニンガー、シフリン、ボンらがシーズン最初から最後まで揃って、ヒルシャーやクリストッファーセン、ヤンスル、パンテュロー、ノイロイター、ララやレーベンスブルグとフルに戦いを繰り広げるW杯を来季は期待したいと思います。
このブログにも以前登場している、私の「戦友」(現在リオデジャネイロ駐在)からのリクエストで写真を少し大きくしてみました。いかがでしょうか?