一ヶ月ぶりのごぶさたです。
先月は陸上やサッカー、バレーボールの取材で各地の学校に取材に行く事がたびたびありました。
取材のときはインタビューカットを撮るために、監督やコーチのお話をお伺いしながらというのが多いのですが、そのなかで印象に残った言葉がありました。
その学校は全国大会で優勝したあとに練習の取材でおうかがいしました。
「生徒たちがどれだけ本気に全国制覇すると考えているかで練習の質が違う」。
言葉だけとらえればしごく当たり前に聞こえるかもしれません。しかし、
「子供のころから成功体験をしてきて『自分たちはできるんだ』と実感している生徒は全国制覇を身近な、到達可能な目標として捉えることができる」。
「目標は全国制覇とうたっても、漠然とそう思うのと、本気で思うのでは練習の質自体に違いが出る」。
という監督先生のお話に、本気でトップを狙うにはある程度の成功、つまり「勝者体験」が必要なんだとあらためて感じました。
様々な競技の指導者のお話はとても勉強になり、自分の仕事に対する姿勢も考えさせる機会を与えてくれる貴重な体験となっています。
さて、'07-08シーズン、その「成功体験」を積み重ね、来季にさらなる活躍を期待されている選手のひとりに、前回紹介したマルセル・ヒルシャーがいます。
アルペン王国、オーストリーに久々にあらわれた新星、来季はブリザードからアトミックにマテリアルチェンジして戦うようです。
今回は最終戦、ボルミオGSの連続写真を紹介。斜面は中斜面、深回りです。
ヒルシャーはワールドカップのGSは出場2回目で今季は初の出場。ヨーロッパカップでは好成績をあげていますが、このときの順位は21位でした。
ワールドカップのGSはアルタ・バディアやアデルボーデンに代表される難コースが多く、さらに近年、深回りを要求されるポールセットも多いと私は感じています。
「気持ちよく」カービングでスキーを滑らせることが少なく、高速で左右移動を連続していくため、かなり体力勝負な要素も大きいのではないかとも思います。
しかしこの撮影ポイントは、最初の写真の前がダブルゲートのスルーなので理想的なターンを描ける数少ない部分だと思います。ご参考まで。
追加で余談ですが、この撮影でも使っている Canon EOS1-D MarkⅢはMarkⅡNと比べ格段にAFの追従が向上し、動体撮影した全コマがすべてジャストピントという確率がとても高まりました。今回はその一例です。
発売当初は敏感すぎるAFの性能に苦情が殺到したようですが、改良後はアルペンスキーの撮影に関して言えば現在、世界最高のAF追従性を誇るカメラと言えるでしょう。
プロスポーツ写真の世界ではキャノンかニコンのカメラでないと話にならないのが現状で、現場ではヨーロッパのカメラマンが使うカメラも日本製というだけで、自分がつくったわけでもないのにちょっと誇らしいです。(笑)