アルペンスキー撮影記

毎冬、ヨーロッパアルプスを中心に行われるアルペンスキーワールドカップの魅力を紹介していきます

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湯浅直樹、高校2年の初優勝 全日本選手権阿寒雑感1

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正直に申し上げて、これほどまでに他を圧倒して湯浅直樹が勝利するとは思っていませんでした。

それというのも、3月に左膝の手術、スキー、ブーツ共にマテリアルのチェンジ、11月にようやく雪上復帰、そして今月初旬、中旬の中国でのファーイーストカップでの苦戦と、優勝を期待できるほどの「条件」は全くと言っていいほど整っていなかったことがその理由です。

レース前日のビブドローに先立ってレセプションが行われ、そこでは湯浅の練習の滑りを見た元ワールドカップレーサーや、メーカーのスタッフの方々数人とお話させていただきました。

「良いか悪いかわからないけれど、滑りは以前と違うよね」という方から、

「滑りは良くはないが、まあ、(勝つのは)湯浅だろうね」と語った隻眼の方まで。

それでもこのブログをご覧いただいている方々も含めほとんどの方は、ナショナルチームの2位大越龍之介に1.62秒もの大差をつけて連覇するとは考えていなかったのではないでしょうか。

湯浅が今季から相棒としたアトミックのFacebookにも

余計な言葉はいらないと思う。湯浅直樹はやっぱり速かった。
2本ともラップを奪う圧倒的な強さ。新しいことへ怯むことなく挑む強いチャレンジ精神と決断力。自身で描いたシナリオを一つ一つ確実に達成することへ惜しまない努力。
彼の復活劇をサポートさせていただいていることに、私たちの方が感謝をしなければいけないのかもしれない。

とあり、サポートするメーカーの人たちも、湯浅直樹の努力とその強さに圧倒された様が素直に表現されています。

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昨年に続く全日本選手権連覇でオーレ世界選手権への切符を手にすると共に、年明けからのナショナルチーム復帰もほぼ決まりました。

しかし、湯浅自身のFacebookでも語られているように、

Dr.進藤はハッキリと、「この怪我を治すことは現代の医学では無理。だから痛みをコントロール出来るようにしよう」と言い、手術からその後のケアまでの一切を担当してくださいました。
Dr.進藤は自身が述べた通り、痛みをコントロール出来る所まで膝の状態を改善してくれて、練習が継続して行えるまでの身体に戻してくれました。(北海道は旭川にある進藤病院)

という膝の状態、そしてそれに伴う現在のコンディションを考えると、本人曰く

「(ワールドカップ復帰には)もう少し時間が欲しい」

そしてFacebookでも

そして、私の復活を待ち望んでいる皆様へ。
今シーズンだけは膝の負荷をコントロールする為、変則的な立ち回りをいたします。
この部分もご理解いただき、引き続き応援していただければこの上なき幸せです。

とお願いしています。

オーレ世界選手権の男子SLは2月17日。その前のワールドカップといえばシュラトミングですが、コンディション次第ではもう少し復帰が早くなる可能性もあるでしょう。

今季は焦らず、戦える態勢を整えることを最重要と考え、レースを選んで出場していくことになりそうですが、いずれにせよ昨季の全日本選手権以外のレースでの成績が全くないどん底の状態から、世界のトップシーンへの復帰の足がかりをしっかり掴んだ優勝であることは間違いないところです。

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上の写真は2000年12月19日、高校2年生の湯浅直樹がFISレースで初優勝を遂げたときの表彰式。

2位は現在、安藤麻を指導する工藤昌巳さん、3位は現ナショナルチーム男子テクニカルコーチの安食真治さん。この時も2位に1.49秒の大差をつけて、強豪の先輩レーサーを押しのけての初優勝。

そう、彼のFISレース初優勝が阿寒でした。

湯浅は翌日のレースも勝ち連勝。翌シーズン、高校3年時には大鰐インターハイで2位に3.01秒つけて優勝し、その次のシーズン、大学1年時に志賀高原でワールドカップ初出場を果たします。

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その後は大学3年時にセストリエール21位でワールドカップ初順位を記録し、大学4年時にクラニスカゴラで50番ビブから7位、トリノオリンピックでも7位入賞を果たすことになるのです。

世界のトップシーンへの足がかりとなる勝利を阿寒で掴んだ湯浅直樹。

18年後、再び阿寒で復活への足がかりをしっかりと掴む勝利で、彼のヒストリーは再び大きく動き出します。

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17歳の湯浅直樹が目指していたのは「世界一」。18年たった今もそれは変わりません。

ブログの読者の皆様、またさらなる湯浅直樹への応援をよろしくお願いいたします。

この先のヒストリーを共につくりましょう。読者のあなたもぜひ、参加してください!