アルペンスキー撮影記

毎冬、ヨーロッパアルプスを中心に行われるアルペンスキーワールドカップの魅力を紹介していきます

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ニルス・ヒンターマン、W杯初優勝 ウェンゲンSC

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 降雪のウェンゲン、「大番狂わせ」とは相撲用語ですが、そう言ってもいいレースとなりました。

 勝者は51番ビブ、地元スイスのニルス・ヒンターマン。

 2位にビブ32、フランスのマキシン・ムザトン、3位はビブ39、オーストリアフレデリック・ベルトー。

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 この3人とも知ってたよ、あるいは名前は知ってたよ、という方がいらしたら「W杯オタク」の称号を文句なくお贈りさせていただきます。笑

 写真はジャンプの表彰式のようなビブの数字の大きい3人。アルペンでは非常に珍しいショットになりました。

 降雪の予報のため、SLとDHを入れ替えてのスーパーコンビは案の定と言うべきか、滑降に進めたのは40人。

 19人がコースアウトで出場選手の3分の1が消えました。

 というのも、今日のウェンゲン、SLコースは強烈な氷状態で、私が撮っていた真横はほぼ全員と言っていいほどエッジが全くかからない箇所があり、ズレを最小に留めて高い技術を見せる選手もいれば、ラインを落とされ、ポールに入りきれない選手も見られました。

 そんな箇所がコースにいくつもあり、毎年「氷の斜面」と表現しているウェンゲンSLですが、今年はそれに「強烈な」という形容詞をつけてもまだ足りないくらいです。

 おかげで?SLを終えて超急斜面を下りる際にはスキーをはかず、わざわざアイゼンを付けてこわごわと歩いて下りてきました。

 一時は心の中で「男ならーーたたかウーーー」と「あしたのジョー」を歌いながら、意を決して降りようかと思いましたが、テールがずれるW杯選手を見せられては、超急斜面は自重せざるを得ませんでした。苦笑。 

 明日以降どころかこれからキッツビュールもシュラトミングもありますからね、身体が大事です。後悔先に立たずです。笑

 ダウンヒルはSLラップのジャスティン・ムリシエから3.23秒遅れの23位、ヒンターマンが合計ラップを奪い、その後ずっとリーダーズボードの前に立ち続け、そのまま何とW杯初優勝を遂げてしまいました。

 スタート位置をフントショフまで下げて行われた滑降でしたが、レース途中から間断なく降り続いた雪が、SL20位より上位の選手の視界を妨げ、滑走時に雪が降っていなかったヒンターマンに有利に働きました。

 そして昨晩からの降雪の影響でしょう、各選手、スキーが滑らずに本来なら高く飛んでくるはずのシルバーホーンジャンプもほとんど飛ばずに入ってくるほどで、例年よりスピードがありませんでした。(冒頭の写真、優勝のヒンターマンも少し浮いたぐらいでした)

 優勝候補のアレクシ・パンテュローは20位に沈み、SLラップのジャスティン・ムリシエも滑降で4.41秒もヒンターマンから遅れて結局7位。

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 なんとも言いようのないレースとなりましたが、弱冠21歳、スイスBチームのニルス・ヒンターマン、ワールドカップ初優勝おめでとう!ですね。

 須貝龍は50番ビブからSLで4.80秒遅れの35位につけ、滑降で30位以内のW杯ポイント獲得を狙いましたが、逆にタイム差をつけられ39位に順位を落として今年のウェンゲンスーパーコンビを終えました。

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 明日は自身初出場、4km超えの最長コース、ウェンゲン滑降に臨みますが、天気は降雪予報。開催自体が微妙で、できたとしてもスタート位置が下がる可能性が高いです。

 なんとか、開催されることを御天道様に祈ります。

 追記:また、今日はイビッツァ・コステリッチの引退レースとなりました。

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 2010-11シーズンの総合チャンピオン、W杯通算26勝、ウェンゲンで6勝、「ミスターウェンゲン」、クロアチアの英雄がピステを去りました。

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 何度も何度も怪我を乗り越えてトップシーンで戦い続けた不屈の男、イビッツァ・コステリッチ、W杯の歴史に深くその名を刻んで37歳での引退でした。