アルペンスキー撮影記

毎冬、ヨーロッパアルプスを中心に行われるアルペンスキーワールドカップの魅力を紹介していきます

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ザグレブ雑感

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昨日はザグレブからインスブルック近くの友人宅まで移動してきました。道路に雪はありませんが山はしっかり雪化粧。12月とは違い、しっかりと冬らしくなっていました。

日本女子チーム、といっても長谷川絵美選手と原田彦ヘッドコーチの2人だけですが、男子レースの翌日7日はクロアチアや他国チーム、他国男子選手とともにワールドカップコースで練習を行いました。

今日8日もかたいレースコースで練習する予定で、その後、原田コーチの故郷ともいえるクラニスカ・ゴラに移動しワールドカップコースで練習して次戦フラッハウに備えます。

第一中間計時ではシフリン、ツェッテルに次ぐ3番目のタイムを出した長谷川絵美。その後本人曰く、「ポールを見失い」入りきれずにコースアウト。

そこまでの映像をレース後、見ることができましたが、今までになく脚部が柔軟に動き、クイックでスムーズな動きでスピードをつなげられていたように感じました。

変化の一番の大きな要因は「オーレで結果を出したことでアトミックから新しいスキーを提供してもらえた」ということですが、(キュータイは従来のスキーで出場)それにしても新しいスキーにマッチした長谷川絵美選手の次戦にも大いに期待したいですね。

シフリン、ツェッテルのスキーとまったく同じものかどうかはわかりませんが、成績をしっかりと出していけば本国アトミックもそれなりの対応をしてくれるというのはありがたいことであり、ある意味かなりシビアともいえるでしょう。

一方、岡田翼コーチと蓮見小奈津、安藤麻の「日本チーム」は6日から9日、スイスのヨーロッパカップに出場。

安藤はGS47位と1本目途中棄権、蓮見はGS2日ともに2本目に進めずでした。今日、明日はSLです。

(追記:安藤麻は8日SLで50番スタートから28位。ヨーロッパカップ初ポイント獲得です)

出場予定だった新井真季子はケガした箇所の痛みが出たため、韓国FEC(1月21日から)に備えて帰国しました。

一方、男子チーム(湯浅直樹選手にクリスチャン・ライトナーヘッドコーチ、長田新太郎コーチ、橘井健治マッサー、横田幸平サービスマン)は7日、オーストリアに戻り、8日には練習の予定。

石井智也、河野恭介、須貝龍の3人はシャモニーのヨーロッパカップで結果を出すことができませんでしたが、その後FISレースSLでは須貝が9位と13位となりました。

彼ら3人は現地プライベートコーチを雇いながら選手だけで動いているそうで、今月18日のヨーロッパカップまで滞在し、その後、帰国してFECに移動予定です。

ザグレブでは選手、チーム関係者、メディアがすべて同じホテルに泊まり、「休養日」があったりナイターだったりで比較的時間にも余裕があるので、今年はクリスチャン・ライトナーヘッドコーチとゆっくり話ができました。

彼曰く、お金のなさ、人員の少なさを嘆いていました。アルペン本国オーストリアのベテランコーチからすれば、「弱小日本」の体制は「なってない」のでしょうし、少ないお金、少ない人員でオーストリアをはじめ、強国と戦っていくのは「困難を極める」という至極まっとうなご意見でした。

卵が先か、ニワトリが先かというような話ですが、イギリスのデイブ・ライディングのようにコーチ1人、選手1人でやっているチームでも結果を出してきているところもあり、(現在ヨーロッパカップランキング1位)一概に資金を投入すればいいという話ですむものではないとも思います。

加えて、お金のない日本アルペンチームはトップの湯浅直樹が成績を出して現況を打破していくしか「好循環サイクル」への道はないのかもしれません。

私も新年早々のブログから書いてはいますが、ライトナーヘッドコーチも湯浅に続く選手をはやくトップチームに送りこんで欲しいと常々語っており、若手の台頭がここ数年皆無に等しいことが最大の懸案事項なのは間違いのないところでしょう。

できれば5,6人の選手がヨーロッパカップで1本目60番以内に残り、そのうち半分の3人が30番以内に入るような「日本アルペンBチーム」が理想ですが、その実現は難しいのが現状です。

日本国内でのレース実績も必要なのはわかりますが、それに固執すると、何を目指して、なにを目標に選手としてアルペンスキーをやっていくのか、不明瞭なまま選手生活を終える日本トップレベルの若者が増えるだけのような気がしてなりません。

今年32歳になる湯浅直樹選手が引退してしまう前に、ワールドカップで2本目に残れる選手を1人でも輩出できるか?

4年を一区切りで考えれば、ピョンチャンオリンピックのシーズンまでにその実現は可能か?

もうすでに大きな期待を背負ってオーストリアにベースをおく高校生選手もいますが、彼だけでなく国内からも競いあってワールドカップの舞台を、いや、ワールドカップの表彰台の真ん中を本気で目指す選手の育成を多くのアルペンスキー関係者に望みます!

冒頭の写真はザグレブでのコースアウト後、悔しそうな表情の長谷川絵美。下の写真は荘厳なオーストリア国歌が流れる表彰式。君が代が流れる日はくるのか?

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