みなさま、新年あけましておめでとうございます。2014年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
私は昨年暮れアルタバディアから帰国後、一週間ほど日本食を堪能し、正月三日にミュンヘンに渡りました。
これからの道程はこのブログでもおなじみ、共同通信社の「戦友」とオリンピックが終わるまでほとんどの行動を共にします。単独行動の多い私は心強い限りです。
そして昨日は早速、ミュンヘンからボルミオへの道中で大雪に遭遇。
チェーンをつけるほどではなかったのですが、間断なく降り続ける大雪のおかげで、Google Mapで走行距離450km、5時間の行程が9時間かかってしまいました。
イタリアのボルミオはおそらく常設ワールドカップ会場で最も高速道路の至近インターから遠い会場で、「Bormio」という標識が出てから「いつまでたっても着かない」場所なのです。笑
やっぱりボルミオは「地の果てボルミオ」でした。笑
そしてその大雪は湿ったぼた雪となって「地の果て」の夜も彩ってしまい、時差ぼけの戦友によると夜中3時にピステン5台で大雪が降るなか、レースコースの圧雪作業を行っていたそうです。
我々カメラマンは今日はスキー禁止で歩いて下から登りましたが、アイゼンはまったく必要なく、スキーブーツで自由に歩け回るほどの湿った軟らかい雪でした。
レース中も雨が降り続きましたが、思いのほかコースは荒れることなく、18歳のミカエラ・シフリンがW-CUP通算6勝目をあげました。(冒頭の写真は勝利が決まって控えめに両手をあげるシフリン)
2位はマリア・ピエトル・ホルムナー、3位にナターシャ・ノーエンスでした。
日本チームの4人は星瑞枝選手の+2.58秒の34位が最高で一人も2本目に進めませんでした。
これで女子のオリンピックの選考対象レースは残り1。 14日のフラッハウSLのみとなりました。
オリンピックに出場するためには、長谷川絵美選手は20位以内、ほかの選手は8位以内が絶対条件です。もちろん可能性としてはありますが、事実上、オリンピック出場は絶望的と言わざるを得ません。
そんな意地悪なこと言わなくても。とこのブログの読者のみなさまは思われるかもしれません。
しかし、SLでは23位が過去唯一の成績である長谷川、過去21位が最高の清澤、そして過去一度も2回目に進んでいない星と花岡。
そのような選手が8位に入れる可能性があると言えるほどワールドカップは甘くないのです。
最も可能性がある長谷川にしても今季のSLの成績は61位、32位、51位、55位と低調。20位以内は極めて厳しいでしょう。
長谷川絵美選手と星瑞枝選手の2人はソチオリンピック出場を念頭におくよりも、来季以降のこと、そしてピョンチャンオリンピックも見据えて中長期的に実力アップの戦略を練り直してもいいかもしれないと思います。
そして、清澤恵美子選手。今日は彼女のことを書かなくてはなりません。
私が撮っていた箇所では「ううーっ」と唸り声をあげて疾走していきました。
昨年12月の中国FECのGSで転倒し右膝前十字靭帯断裂の怪我を負いましたが、まさに「執念」で前戦リエンツから復帰。
モーグルの伊藤みき選手と同様、すぐに手術が必要な状態ではありますが、オリンピック出場にかける思いが彼女をワールドカップのコースに立たせています。
本人は「昨シーズンの湯浅みたいにかっこいいものではない」と謙遜しますが、湯浅同様、「スキーには致命傷」と言える大けがをおしての出場には頭が下がります。
「さすがに(骨が)折れていたら引退しますけど」と気丈に話す彼女の目は決意に溢れていました。
ストックを杖代わりにして(その姿は湯浅と奇しくもおなじでした)右足を引きずりながらコースをあとにする彼女の姿を見て、私は余計な励ましは必要ないと思いました。
次戦、フラッハウの清澤恵美子選手の滑り、ぜひご注目ください。ぜひあなたのその目に焼き付けてください。
(FOXスポーツでは残念ながら放送がないようですので、Haha Sports.comと検索してインターネット中継でご覧ください)
そして私はそれでも、次戦での長谷川、星、花岡の各選手の奮起に期待したいと思います。
明日は男子SL。
天気予報とおり、表彰が終わるころには雨もあがりました。明日は快晴の予報。スタートは現地14時45分、日本時間22時45分です。今晩は冷え込む予報ですので今日の湿った雪が明日はツルツルのコースを用意してくれるかもしれません。
湯浅、明、賢太郎、そしてワールドカップ初出場の武田竜の4選手の滑りに期待しましょう!
最後の写真はインスペクションでの清澤。