アルペンスキー撮影記

毎冬、ヨーロッパアルプスを中心に行われるアルペンスキーワールドカップの魅力を紹介していきます

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ヴァルヒホッファーDH種目別トップに W-CUP クヴィートフィエルDH

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ミヒャエル・ヴァルヒホッファーが今季4勝目、W-CUP通算19勝目をあげ、そして今日でディディエ・キューシュを逆転し、DH総合トップに立ちました。

57人の選手が滑り終わってコースを降りてゴールエリアに入ろうとすると、私の手をつかむ人が。

今季からイタリアチームの広報担当になったロベルトでした。

「大丈夫か?」ととても心配そうでした。

私は「私の家族は大丈夫だ。だが、多くの人が死んだ。2000人以上になるだろう」と言いました。

「それは申し訳ないことを聞いた。すまん」とロベルトは謝辞を述べました。

昨晩にはイタリア人カメラマンのアレッサンドロからも心配するメールをもらったり、今朝もいろいろなカメラマンから地震の状況を聞かれたりしました。

世界の人々が心配してくれています。

地震は天災。

ならばその天から生かされている運良く残った我々は、一日一日を精一杯、悔いなく生きるしか亡くなった方々の無念を晴らすすべはないと私は思います。

私は今朝もUSTREAMNHKのニュースを見て、いつもと同じように精一杯の自らの技術とセンスと経験を駆使して撮影に臨みました。

今日は快晴のクヴィートフィエル。同じコースでの連日のDHということもあり、ラップタイムは1秒以上アップ。ジャンプの高さとスピードも昨日と格段に違うと友人カメラマンも話していました。

冒頭の写真の前に距離数字が雪面に書いてあるジャンプが遠目に見えるのですが、初日のトレーニングランでは30mそこそこだったのが、今日はほとんどの選手が60m超のジャンプ。

そして、写真のシャンプも高く激しく、そして格好よく飛行してきてくれました。

優勝したヴァルヒホッファーはこのシャンプの着地で「オウオー」と吠え、ジェット機のような轟音とともに風を切って視界から消えていきました。

ここクヴィートフィエルのジャンプはワールドカップのなかでも一二を争う美しいジャンプだとカメラマンのなかでは有名です。

加えて、着地が撮影位置から15mくらいしか離れていないので、スキーが風を切っていく音や選手の息つかいまで感じられる「かぶりつき」の撮影ポイントなのです。

ここで冒頭の写真を撮って、アルペンスキーの撮影をつまらないと思うカメラマンは一人もいないでしょう。

これで彼がキューシュを逆転、14ポイント差でトップに立ちました。最終戦DHは種目別チャンピオンをかけて、今日2位に入ったクローウェルを含めた三つ巴の戦いになりました。

来週水曜日のレンツァハイデは白熱のレース必至です!

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上の写真は昨晩、心配するメールをくれたアレッサンドロ・トロバッティ撮影です。彼曰く、「今日イチ」だそうでスキーが両方とも浮いてます。

対して私の「今日イチ」は、これ。

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今朝のインスペクション前のすがすがしい握手。

昨日で事実上、ワールドカップ総合優勝を決めたイビッツァにキューシュが右手を差し出しました。

最後まで精一杯シーズンを戦ってきた両者の、お互いにしかわからない領域を感じさせる2人の握手でした。

そして今日、「正式に数字上も」彼の悲願の初総合優勝が決まりました。おめでとう!イビッツァ!

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ヴァルヒホッファーは昨日の3位の記者会見の最後に「ほかに質問は」との司会者に、一秒待って、「See you Tomorrow !」と自ら会見を切り上げてメディアを笑わせました。

そして、今日の優勝会見の最後には「See you Tomorrow !」の頭に「Maybe」をつけて笑って去っていきました。

さすがベテラン、記者会見も慣れたものです。今季で引退を表明しているようですが、撤回してくれないかなと思わせてくれました。

明日のSG種目別はシュトライトベルガーが現状トップですが、ケガで戦線離脱。

2位はイビッツァとキューシュ。明日は今朝、熱い握手を交わした2人の、熱い戦いが見れそうです!