3週間にわたる北京オリンピックの仕事も終わってみればあっという間でした。
空気や水、テロや暴動など心配されていたことは、少なくとも私がいた環境では杞憂に終わりました。
中国は金メダル獲得数でアメリカを抜き、トップ。選手の強化では国家の戦略が成功したといえるのでしょう。
しかし、その中国もチーム競技では思うような結果は得られなかったように思います。「団体競技の強化には時間がかかる」。という思いを強くしました。
かつては日本人が得意としていた「チームワーク」。今回それが発揮され、見事に実を結んだのはソフトボールチームだけだったかもしれません。「人と人の調和」と「モチベーションの持続」の難しさを感じた北京オリンピックでした。
「メダルを取るととらないではこうも周囲の反応が違うのかと思い知らされました」。4×100mリレー、銅メダルの朝原選手はそう語ってくれました。
メダルの獲得によって変わるのは周囲の反応だけではありません。選手強化費の分配でも大きな影響力を持ってくることになります。
お金があれば強くなるという単純なものではないでしょうが、豊富な資金がメダルを持ってくるという構図は、今回のイギリスやオーストラリアのメダル獲得数をみると間違いないのではないかと思わされます。両国とも日本の何倍もの選手強化費をかけています。
現在、配分される強化費は潤沢とはいえないアルペンスキー。夏季スポーツが盛り上がるたびに、待遇が心配になるのは私だけではないでしょう。
正直、いまの日本のアルペンスキーはトップ3人それぞれ個々の、飛び抜けたテクニックとモチベーション、そして彼らをバックアップするスタッフの熱い情熱に支えられているといっても過言ではないくらいです。
でも、今回の日本の結果から見ると、もしかしたらお金よりもなによりもアルペンスキーは一番大事なものをもっていると言えるかもしれません。
今月が終わると「冬モード」に頭を切り換える時期がもう目の前です。