また涙腺がゆるんでしまいました。
今季のダウンヒル種目別総合優勝は先週すでに、ディディエ・キューシュに決まっていました。
今日のレース後、表彰台にあがった彼はクリスタルトロフィーを受け取ると、
じっと眺めてから、両手で高々と天に突き上げました。
そして、またじっと我が子を優しく抱くように両手に抱え、ひざまずいて下を向いてしばらく動きませんでした。
スイス国歌に顔をあげた彼の目はサングラスで覆われていましたが、その下から一筋の涙がこぼれ落ちていきました。
ワールドカップデビューから苦節14年、度重なる怪我にもめげず32歳のベテランが、初めて手にする種目別総合優勝のクリスタルトロフィーでした。
心から「おめでとう」と言いたいシーンに出会った私は、男泣きのキューシュをファインダーで捉えながら涙をこらえるのが精一杯でした。
ほんとうにおめでとう。